
とでも言わんばかりに、「炭水化物抜きダイエット」が大流行しています。
実際に食事で炭水化物を減らしている人も多いのではないでしょうか。
しかし誤った知識で安易に炭水化物を抜くと、ダイエットを失敗する原因や美容面への悪影響に繋がってしまいます。
この記事では、
- ダイエットに炭水化物が必要な理由
- 炭水化物がいらないと言われる理由
- ダイエットを成功させるための炭水化物との上手な付き合い方
この3つについて紹介していきます。しっかりチェックしてぜひダイエットに役立てて下さい♪
そもそも炭水化物とは

炭水化物とは「米やパスタ・パン」などに多く含まれる三大栄養素の一つです。
- タンパク質
- 脂肪
と並ぶ、生きていく上でとても大切なエネルギー源ですね。
もう少し説明すると、炭水化物とは「糖質(+食物繊維)」のことになります。
実は米やパン・パスタといった主食系以外に、野菜や果物にも多く含まれています。
ご飯などの主食を「炭水化物」と呼ぶ人もいますが、炭水化物以外の栄養素も含まれているので正確には「炭水化物の含有量が多い食品」というわけですね。
炭水化物が「いらない」といわれる理由
では「ダイエットを成功させるためには炭水化物がいらない」と悪者扱いされる理由をみてみましょう。
その理由についての真偽も考察していきたいと思います。
炭水化物は脂肪に変換される?

食事をすると炭水化物は、
- 単糖類まで分解
- 腸で吸収され血液の中へ
- エネルギー源として肝臓や筋肉に蓄えられる
といったように消化され吸収されます。
この時に「血液の中の炭水化物が多過ぎると、脂肪に変換されて貯められる可能性がある」と言われています。
ようするに、
というわけです。
ところが最近の研究で、「炭水化物を摂り過ぎる → 脂肪にチェンジ」という流れはかなり起きにくいというのが証明されています。
どちらかというと、太る理由としてはこういった原因が考えられます。
- 炭水化物を摂る量が多くなる
- その分炭水化物経由によるエネルギー消費が多くなる
- 脂肪経由のエネルギー消費が減る
- 脂肪の消費量が減ってしまう
少しややこしいかもしれませんが結論としては、「炭水化物でも脂質でも摂り過ぎると脂肪がたまる」ということですね。
つまり摂り過ぎて太るのは炭水化物に限った話ではないということです。
食べ過ぎてカロリーオーバーの原因になる?

お米などの主食は単体で食べると味が薄いです。
そのため味付けの濃いお肉などとバクバク食べてしまうので、カロリーが増える原因になると考えられています。
- 味の濃いおかず
- 味の薄いご飯
- 味の濃いおかず
- 味の薄いご飯
といったループを生み出すわけですね。
「ごはんが進む」とはよく言ったものです。しかしこの場合問題があるのは、ご飯ではなく「味付けの濃いおかず」の方ではないでしょうか。
薄味(普通の味)のおかずであれば、主食を食べすぎる原因にはなりません。
しかも味の濃いおかずは塩分過多による水太りやむくみに繋がるので、体重が落ちにくい原因にもなってしまいます。
どちらかというと、大切なのは炭水化物を食べ過ぎないための工夫だと言えそうです。
成長ホルモンの分泌を阻害

「成長ホルモン」と呼ばれる、脂肪を分解してくれる優秀なホルモンが存在します。
このホルモンは睡眠時や、血糖値の低い状態で分泌されやすくなります。
- 炭水化物を夜寝る前にとる
- 成長ホルモンが分泌されやすい大切な睡眠時に血糖値が高い
- 成長ホルモンの分泌を邪魔する
このことから、夜遅くに炭水化物をとると太ると言われるんですね。
確かにこの点に関しては同意できます。ダイエットを行う上では十分注意する必要があるでしょう。
- 寝る三時間前までにはごはんを済ませるようにする
- 晩ごはんが遅くなる日は炭水化物を少なめにする
この2点を守ることが大切ですね。
GI値の高い食品が多いため?

GI(ジーアイ)値とは、食べ物をたべた時の血糖値の上がりやすさを数値化したものです。
Glycemic Index(グリセミックインデックス)の略称になります。
血糖値が急に上昇すると、血糖値を下げるためにインシュリンが多く分泌されます。
このインシュリンののはたらきによって、「糖が脂肪細胞に運ばれて脂肪に変換されてしまう」という説が昔はありました。
しかし先ほど説明したように、糖分 → 脂肪への直接のチェンジは起こりにくいことが最近の研究では証明されています。
GI値の高さが原因では「炭水化物が太りやすい=炭水化物がいらない」という構図は成り立たないんですね。
ダイエットに炭水化物が必要な理由
それでは、「ダイエットを成功させるために炭水化物が必要な理由」について見ていきましょう。
カロリーコントロールが難しくなる

個人的な一番の理由はこれですね。
炭水化物を抜いた食事は、格段にカロリーコントロールが難しくなります。
炭水化物抜きダイエットでは普段食べていた「お米やパン・麺類」などのかわりに、お肉などの量を増やすことになります。
ところが肉類は、当然米などに比べると脂質が多いです。
- タンパク質:4kcal/g
- 炭水化物:4kcal/g
- 脂質:9kcal/g
このように、脂質は炭水化物の倍以上のカロリーをもっています。
普通に今までと同じ量を食べると、自然とカロリーは高くなってしまうんです。
つまりカロリーオーバーしないように調整すると、今までよりも少ない量で我慢しなくてはいけなくなるというわけですね。
これはとても大変なことだと思います。
というような理論を唱える人もいますよね。
でも常識的に考えてそんな訳はないと僕は思います。
食物繊維をしっかりとるため

冒頭でお伝えしたように、炭水化物とは「糖分 + 食物繊維」です。
誤った炭水化物抜きダイエットをして極端に炭水化物を減らすと、食物繊維不足になりやすいと言えます。
食物繊維は、
- 満腹感を出すため
- 腹持ちをよくする
といったことにも貢献してくれます。
さらに食物繊維が不足すると、ダイエットの天敵である便秘にもつながってしまいます。
この大切な食物繊維を無理なく摂取するためには、炭水化物は切り離せない存在だといえます。
ビタミン・ミネラル不足を防ぐため

野菜や果物のように大切なビタミンやミネラルを多く含む食材も、炭水化物が主な栄養素の食べ物です。
という人もいると思いますが、一応説明しておきます。
全体的に糖質量を決めて制限するのであれば、関わってくる問題でもありますしね。
栄養バランスが悪い食事は「太る原因・痩せない原因」に直結します。
さらにビタミンやミネラルが不足することで、
- 肌荒れ
- 髪の毛・爪のトラブル
にも関わるので、美容面においても悪影響を及ぼしてしまいます。
「美しくダイエットを成功させる」ためにも炭水化物は必須なんです。
炭水化物は脂肪の分解にも関わる

炭水化物は、実は脂肪の分解にも大きく関わってきます。
炭水化物は体を動かす主なエネルギー源なので、炭水化物を極端に抜いた状態だと当然エネルギー不足になります。
このエネルギー不足を補うために、「通常は炭水化物から作り出していたエネルギー」を、「脂肪から作る」ことになります。
ところがこのイレギュラーなエネルギーの作り方には少し問題が出てくるんです。
炭水化物が足りている状態では、脂肪を分解すると「水+二酸化炭素」が産生されます。
しかし炭水化物不足の状態で脂肪を分解すると「ケトン体」という物質が産生されるのですが、このケトン体が少し厄介になるんです。
ケトン体のデメリット

- 炭水化物が足りない状態が続く
- エネルギーの不足分を脂肪の分解で補う生活が続く
- ケトン体という物質が体内に増えてくる
先ほどの話を簡単にまとめるとこうですね。
そしてこのケトン体は臭いの原因となります。脂肪やタンパク質の摂取量が増える事と重なって、「体臭や口臭がきつくなる」ということが起こってきます。
またこのケトン体は酸性なので、増えることで体内が酸性に傾いてしまい「吐き気や頭痛・睡眠障害」などをひき起こす原因ともなります。
ストレスや睡眠の質が低下することにも繋がるので、これはダイエットにとっても良いことではありません。
しかもこの酸性の状態が続くと最悪死に至る可能性も出てきます。
炭水化物は「脳や赤血球の唯一のエネルギー源」

「糖分が足りないと頭が働かない」なんて言葉を聞いたことがありますよね。
たしかにそのとおりで、脳や赤血球の唯一のエネルギー源がブドウ糖(糖の最小単位)です。
とても大事なこのブドウ糖が不足すると困りますよね。そこでこういう仕組みが体には用意されています。
- ブドウ糖が不足する
- 脳や赤血球にエネルギーを供給できない
- 筋肉などのタンパク質を分解してブドウ糖に変換する
「栄養不足でも、何とか脳と赤血球には十分なエネルギーを送ろう!」という仕組みですね。
この仕組みが働くとブドウ糖は維持できるんですが、筋肉が分解されてしまうのでもちろん良い事ではありません。
せっかく行うトレーニングが無駄になったり、代謝が落ちて逆に痩せにくくなってしまいます。
脳と赤血球への自然なエネルギー供給を考えるとやはり、
「炭水化物 > タンパク質や脂質」という摂取バランスが好ましいといえます。
炭水化物との上手な付き合い方

ここまでの説明で、
と思ってもらえたでしょうか。
- 夜は早め(遅くても寝る3時間前くらい)に食事を済ませる
- 遅くなる場合は主食による炭水化物を減らす or 控える
- 朝・昼はしっかり摂取する
- つい食べ過ぎないようにおかずの味付けに注意する
この4つの点に気をつけることで、炭水化物と上手に付き合いながらダイエットを成功させることができるはずです。
とはいえ、もちろん炭水化物も必要以上に食べ過ぎてしまえば太る原因になります。
そこでまずは一度、食生活を見直して炭水化物の割合をチェックしてみましょう。
- 炭水化物:65%
- 脂質:25%
- タンパク質:15%
これくらいの比率が理想ですね。
炭水化物の割合をしっかりと見直すことによって、
- 炭水化物を減らす必要があるのか
- 脂質を減らす必要があるのか
- 全体的に食べ過ぎているのか
なんとなく分かるはずです。
ダイエットを成功させるために取り組むべきことも、きっと見えてくるはずですよ♪
まとめ

炭水化物は栄養学的にも、三大栄養素の中で一番多く摂るようにすすめられている「とても大切な栄養素」です。
極端に炭水化物だけ減らすと、
- ダイエット面
- 美容面
- 健康面
多くのデメリット生まれてしまいます。
炭水化物がいらないと切り捨てるのではなく、「必要であることを理解して上手に付き合っていくこと」が大切だと言えるはずです。
ぜひあなたも上手に炭水化物を摂取しながら、バランス良くダイエットを成功させてください♪